『BAR NORGE』
港町に残る、ノルウェーの船乗りたちの面影。

1950年以降、特需景気を背景に外国人向けのバーや各国の船員が開いた店が次々と誕生した元町・中華街。最盛期は130軒以上のバーがひしめき合っており、なかでもデンマーク、ノルウェー、スウェーデンなど北欧出身のオーナーによるバーが数多く存在した。
『BAR NORGE』もノルウェー人オーナーが母国の船員たちを迎える場として1972年にオープン。船内をイメージした内装で、操舵輪、オール、エンジンテレグラフなどが飾られている。船員たちは沖で荷下ろしをした後、重い荷物を引きずって街まで運んでいたそうで、そんな重労働を終えた彼らが見慣れた景色に囲まれながら疲れを癒やしていた様子が目に浮かぶ。バーでは珍しくサービス料がないのも当時のキャッシュオンスタイルの名残だ。
現在のオーナー、市川延幸さんは「いつかこんな素敵な店を持ちたい」と憧れながらお店に通っていたお客さんの一人だったという。創業オーナー夫妻が亡くなり、店がなくなると聞くと居ても立ってもいられなくなり、残したいという強い思いを伝えて引き継ぐことになった。そんな市川さんが守り続けているから内装も創業時のままで、「30年、40年前に来たことがある方がふと思い出して立ち寄ってくれると嬉しいです」と話す。
過ごす時間はそれぞれの人生のほんの束の間。でもこの日飲んだショートカクテルのように甘く色濃く記憶の片隅に残り続けそうだ。
BAR NORGE
神奈川県横浜市中区山下町217 林コーポ1階
045-641-7020
16:30~0:30(L.O 0:00)、金・土16:30~1:30(L.O 1:00)
無休
Official Website
https://bar-norge.jp/
市川さんが店を受け継いでから14年目。店名はノルウェー語で「ノルウェー」を意味する。