ひとりゆっくりとウイスキーに沈むためのトラックリスト
自分がまるまる自分だけになれる時間。ある人は、ウイスキーのグラスを傾ける土曜の夜と答えるかもしれないし、日曜の午後のコーヒータイムかもしれない。人それぞれに営業時間外はある。みなさんの“営業時間外”はいつですか?そんなとき、どんな音楽を聴きたいですか?第3回はトランペット奏者の黒田卓也さん。

ホテルの部屋でウイスキーを飲む、
誰にも邪魔されない自分だけの時間
僕はライブで世界中を飛び回っているんですけど、現地でゆっくり遊んだり食事に行ったりする時間って意外とないんですよね。深夜に帰ってきて、翌日は早朝から次の会場に向かわないといけないみたいなことが多くて。でも、たまに急いで起きなくても大丈夫な日があるんです。そんな日の前夜はうれしくなって、ホテルに戻ってから部屋にあるグラスにウイスキーを注ぎます。誰にも邪魔されない空間で完全に体の力を抜いて、お酒を飲みながら好きなお笑いの動画を見たりする。そんな自分だけの“営業時間外”が、何かと頭を使う日々に華を添えてくれます。
今回は“ひとりウイスキー”に合いそうな楽曲をイメージしながらトラックリストをつくりました。僕にとってウイスキーは、飲むと時間の流れが遅くなるお酒。そこで、アップテンポな楽曲も交えつつ、基本的には落ち着いて聴けるものを選曲しています。特にジョン・コルトレーン・カルテットの「It’s Easy To Remember」は、音と音の隙間にある余白を楽しめるような一曲。少し静かになったところでグラスの氷が溶ける音が聞こえれば、それも含めて最高のリラックス体験になると思います。
くろだ・たくや/1980年兵庫県生まれ。現在はニューヨークを拠点に活動。2003年よりニューヨークのニュースクール大学ジャズ科で学ぶ。14年、日本人で初めてUSブルーノート・レコードと契約し『ライジング・サン』でメジャーデビュー。2025年2月28日に2年ぶりとなる最新アルバム『EVERYDAY』をリリース。