ミュージシャン・髙城晶平が考える営業時間外に寄り添う音楽たち

家にいながらにしてお店で飲んでいる気分を味わえるトラックリスト

自分がまるまる自分だけになれる時間。ある人は、ウイスキーのグラスを傾ける土曜の夜と答えるかもしれないし、日曜の午後のコーヒータイムかもしれない。人それぞれに営業時間外はある。みなさんの“営業時間外”はいつですか?そんなとき、どんな音楽を聴きたいですか?第7回はミュージシャンの髙城晶平さん。

ミュージシャン・高城晶平が書いた文字とイラスト
髙城さんが考える営業時間外「はじめにウイスキーありき」

家族と、仲間と、賑やかな酒の場が今の気分。

若い時には少し距離を感じていたウイスキーでしたが、両親が始めたバー「Roji」でお客さんにお酒を提供する中で、「こんなに種類があるんだな」「自分も飲んでみようかな」と興味を持つようになりました。個人的にビールとかワインよりも長く飲める感覚があって、今でもお酒を飲む時は1杯目からハイボールを頼むことが多いですね。

自分の場合は一緒にお酒を飲むのも音楽をするのも昔から付き合いのある人たちばかりなので、そういう意味では仕事と休みの線引きがあまりありません。でも、しばらく抱えていた仕事に区切りがついて家族もどこかに出かけているタイミングがあると、「今すっげぇ一人だなぁ」と“営業時間外”を実感することがあります。家族がいることに慣れきっているから、自宅にいるのに非日常を感じるんですよね。そういう時間があると、そのままアニメやドラマを観て過ごすこともありますが、行ったことのない街をふらりと歩いてみたくなったりもします。

昔はどこに行くにも音楽を聴いていたのですが、最近は耳を大事にしようと気を使うようになりました。生活の中で音楽を聴くのは、家で洗濯をしている時間だけ。特にこだわりもなく普通のスピーカーで曲を流してるだけなんですが、なぜか洗濯中はすごく集中して聴けるんですよね。それも自分にとって“営業時間外”のひとつなのかもしれません。

今は静かにお酒を愉しむというよりも賑やかに飲みたい気分なので、それに合わせてトラックリストも愉しい曲を中心に選びました。ここ数年はイベントでDJをする時にも、ボズ・スキャッグスやダリル・ホール&ジョン・オーツみたいな割と定番のレコードを気楽にかけるのがいいなあと思うようになって。自分は外でしかお酒を飲まないので、お店で流れていることをイメージした選曲です。そろそろお店を出ようかという時にサザンオールスターズの「HAIR」みたいな痒いところに手が届く曲が流れるとテンションが上がるので、それも後半に反映しました。やっぱり音楽の力ってすごくて、BGMによって空間のイメージがガラッと変わるんですよね。この間、子どもたちと夕飯を食べる時に部屋を暗くしてディズニー映画の曲をかけると、その日のメニューがおでんとかでも遊園地の気分に浸れるということを発明して(笑)。このトラックリストを聴きながらお酒を飲んで、自宅でもお店にいるような雰囲気を楽しんでもらえたらと思います。


髙城晶平
ミュージシャン

たかぎ・しょうへい/1985年東京都出身。2004年にバンド「cero」を結成し、ボーカル・ギター・フルートを担当。ソロプロジェクト「Shohei Takagi Parallela Botanica」でも活動する。2025年10月にはceroが音楽を担当した映画『ホウセンカ』のオリジナルサウンドトラックがリリースされた。

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