『NORMEL TIMES』による短編映画『遠い人』試写イベント開催。ウイスキー片手の参加レポート。
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』なんてタイトルの本がベストセラーになるように、なにかと忙しい現代。疲れていると、案外、自由な時間を無駄にしちゃうことも。だからこそ、意識的にリラックスして癒しになるような時間を確保することが大切だ。
たとえば、一杯のウイスキーを味わう時間=20分を大事にしてみるとか。SUNTORYとPOPEYEとBRUTUSがつくるWebメディア『NORMEL TIMES』が制作した映画『遠い人』はそんな「一杯のウイスキーを味わう時間に寄り添う」ことをテーマにした20分の短編映画。監督の玉田真也さんのトークイベントなどが用意された同作の試写イベントが12月4日(木)に開催された。


会場となったのは、サントリーとのコラボレート家具も発売したことでも縁のある「カリモク家具」による複合施設『カリモクリサーチセンター』地下。カリモクのチェアに座りながら贅沢な鑑賞体験。受付で配布されるコースターがドリンクチケットとなり、入ってすぐのバーカウンターで、映画内で重要な役割を果たす「白州」と交換できる粋なサービスも。ストレート、水割り、ハイボールの中から好きな飲み方で堪能。
『NORMEL TIMES』の運営の根幹である「営業時間外」。仕事や家庭での役割から開放されたひとときを表すテーマをそのまま映画作品へと落とし込んだ本作。
台湾から日本へやって来たポン・ルイユン(演: 李夢苡樺)と、ポンの恋人の母、笹本美弥子(演: 坂井真紀)が主人公。ちょっぴり気まずい関係性の2人が、恋人(息子)不在のまま一泊二日をともに過ごす。世代の壁、言語の壁、生活スタイルの壁……なかなか交わることのできない2人のリアルな空気感と、その境界線が溶け合う瞬間が20分に凝縮されている。上映後には、監督本人によるトークショーも。撮影の裏側、作品の背景などをたっぷり語った。

「忙しくて、旅行中でも仕事のことを考えてしまう人っていますよね。自分もですが。一方で、ルイユンはせっかくの時間を楽しみたい。けれど色んなことが重なって、2人は絶妙にねじれてしまっている。そんな人々の関係を見てみたいと思ったんです。これは『営業時間外』にぴったりのテーマだと思い、そこにウイスキーがあったら関係はどう変化していくかなと」
また、坂井さんや李さんの演技にも注目だ。
「坂井さんは愛嬌がめちゃめちゃある役者。ルイユンの感情を無視してしまう役どころなのに、独特の愛嬌でごまかせてしまう。存在感の凄さを感じました。また、ルイユンを演じた李さんはオーディションで選んだのですが、作品への咀嚼力に驚いた。日本語も全く分からない状態だったのに、撮影までに完璧にセリフを入れて、ニュアンスも理解していた。実は台湾での”アカデミー賞”である『金馬奨最優秀助演女優賞』も受賞している注目の役者さんなんですよ。作品としては、短編だからこそ試せたシーンもたくさんあったので、撮影はとても楽しかったんです」

普段も自宅で映画を鑑賞する際にウイスキーなどを飲みながら観ているという玉田監督。1日の仕事、役割を終えた「営業時間外」の時間、余暇の時間の過ごし方こそ、自分らしく“人間らしくやりたい”。『遠い人』は、現在『NORMEL TIMES』サイトで公開中。ぜひウイスキー片手に、贅沢な鑑賞体験を。
ウイスキーとその周辺にある独自の文化を、様々な形で発信する“営業時間外”プロジェクト「NORMEL TIMES』。「ウイスキー一杯分の映画」をテーマに映画を制作するプロジェクト「NOMEL TIMES FILM」の第一弾として『そばかす』『夏の砂の上』の玉田真也監督が脚本・演出する『遠い人』を公開中。