
27歳。大学時代のKENの後輩。出版社で雑誌の編集をしている。

29歳。ロサンゼルス生まれの帰国子女。スタンドアップコメディアンとして活動中。

この前、アメリカのアカデミー賞授賞式を見ていたんですよ。あれって司会をコメディアンがやるじゃないですか。

アカデミー賞は映画人だけじゃなく、司会に選ばれたコメディアンにとっても晴れ舞台だからな。

だけど、司会が話すジョークがほぼ理解できなかったんですよ。国が違うとこんなにもわからないものなんですね。

まぁ、あれはハリウッド業界の内輪ネタだからしょうがない。だけど、国境を越えて響き合うジョークっていうのもなくはないんだぞ。

え、そうなんですか?

例えば、日本にはこんな古いジョークがある。寒い夜、武家屋敷の仲間が使いに出ると、向こうから甘酒売りが来た。一杯飲もうと、たばこ入れの銭を数えてみると、たった五文しかない。使いは思った。「一文足りないぶんは、ごまかしてやろう」。

ふむふむ。

一杯引っかけた後、「さあ、銭を払おう。手を出しなされ」と言う使いは、「それ、一文、二文、三文」と数えたところで、急に「なんどきだろう?」、つまり「何時だ?」と問いかける。すると「四つ(午後10時ごろ)でございます」と甘酒売り。それを聞いた使いは、何食わぬ顔で「五文、六文」とさらに数え、無事に六文を支払ったとさ。

あ、時間を聞くふりして四文目を飛ばしたんだ。悪い奴だなぁ。

お次はところ変わって、舞台はアメリカ。サム君はレストランに行って、ホットケーキをオーダーした。ところが、運ばれてきたものは焼き方が足りないようなので突っ返し、代わりにフレンチ・トーストを頼んだ。

すでにウザい客……。

サム君がフレンチ・トーストを食べ終わって帰ろうとしたら、支配人から大声で呼び止められた。「お客さん! フレンチ・トーストの代金を払っていませんよ!」。

そりゃそうなりますよね。

「何を言っているのだ。あのフレンチ・トーストは、ホットケーキの代わりだからタダじゃないか!」。そう言い返すと、「しかし、お客さん、ホットケーキの代金も払っていませんよ」と支配人 。サム君は、ムッとして言ったとさ。「ホットケーキは食べていないから、何も払う必要ないじゃないか!」。

は、半端ねぇただの無銭飲食……。でも確かに、その2つのジョークは、似てなくもないですね。

つまり、国や時代が変わっても人間の思考回路なんて変わらないってことを、ジョークは教えてくれるんだ。人類みな兄弟!

いい感じにまとめましたけど、テーマが無銭飲食じゃなぁ……。
参考文献:
『にっぽんジョーク集 金にうらみは…の巻』興津要著、『頭がよくなるユダヤ人ジョーク集』烏賀陽正弘著