スペインの港町、サンルーカルのように時間ごとに表情が移りゆくカウンター。

14時から始まる珍しいバーが神楽坂にある。神楽坂駅1番出口の目の前にある『サンルーカル・バー』だ。日本のバーテンダー界を代表する上田和男さんのもと、『バー ロオジエ』、『銀座テンダー』で20年修行した新橋清さんが2010年に開いた。「いろんな生活サイクルの方がいるので、夜に絞る必要はないと思います」と、オープン以来14時から店を開けている。
店名はスペインの港町、サンルーカル・デ・バラメダからとったもの。新橋さんが訪れた冬のサンルーカルは一日の中でも気温の移り変わりがあり、明け方と夜は寒く、日中は海側から吹く風の湿度と太陽の影響で緩やかに暖かくなる。バーも訪れる時間帯で店内に差し込む光が緩やかに変わっていき、様々な景色の中でお酒を愉しんでもらいたいという想いを込めて名付けた。ビジネス街、住宅街、飲食店街、三つが徒歩圏内にあるこのエリアでは1日の過ごし方も人それぞれで、様々な人が入れ替わり立ち替わり訪れる様子はサンルーカルの街のようだった。
コースターに刻まれているのは昼間に見られるある光景。「陽が差している時間帯にマティーニなどの透明なカクテルを飲むと、グラスに入口の格子が映り込むんです。それをイメージして、縦に太い線と細い線が交互に並ぶデザインにしました」と新橋さん。1日の中の限られた時間にしか味わえない贅沢な瞬間がコースターに閉じ込められているのだ。
東京都新宿区神楽坂6-43 K’s Place102
03-6228-1232
14:00~23:00(22:00最終入店、LO 22:30)
月休
Official Website
https://sanlucar.jp/
新橋さんはリキュールやカクテルに関するエッセイを毎月更新しているサントリーのウェブサイト「オンドリのしっぽ」でカクテル作りを担当。初回から携わっており、現在166回目を迎える。