『堂島 サンボア・バー』

家族で名店の系譜を守り続ける堂島の老舗。

全国に15つある『サンボア』の中でも長い歴史のある『堂島 サンボア・バー』。1934年に中之島で創業し、戦後堂島へ移ってバラックで再開。1955年に現在の建物に改築された。イギリスやドイツなどの民家で見られる、柱や梁などの骨組みが外にむき出しになっているハーフティンバー様式を採用した外観は、割烹料理店や居酒屋など飲食店が並ぶ中で他とは違う空気を纏っていた。
扉を開くと、一点の曇りもなく磨き上げられた真鍮の足掛けと肘掛けが目に飛び込んでくる。現在の建物に改築されてからおよそ70年経つとは思えないほど輝いており、日々の手入れが行き届いているのが伝わってきた。
10年勤めたのち、マスターの推薦があれば独立して店舗を持つことができるという独自の暖簾分け制度のおかげで、全国各地で『サンボア』を楽しめるが、ここ『堂島 サンボア・バー』は家族で継承しており、店主の鍵澤秀都さんは3代目。祖父・鍵澤正男さんの代から店を守り続けているという他にはない物語がある。
1935年から続く堂島のような老舗もあれば、2024年にオープンした新店まである『サンボア』は、同じ屋号で世代を超えて広がり続ける国内唯一のバーだ。簡単に氷が作れるわけではなかった時代から踏襲される氷なしのハイボールを飲んでいると、脈々と受け継がれる伝統が色濃く感じられた。

堂島 サンボア・バー
大阪府大阪市北区堂島1-5-40
06-6341-5368
17:00~23:30、土16:00~22:00
日・祝休
1934年に創業し、1955年に現在の建物に改築された。テーブル席もあるが、L字型のカウンターで立って飲むお客さんが多い。大阪市が主催している「生きた建築ミュージアム」に『通天閣』や『梅田スカイビル』などとともに選定されている。