帝国ホテル 東京『オールドインペリアルバー』
『オールドインペリアルバー』コースター

フランク・ロイド・ライトの意匠をいまに伝えるバー。

オールドインペリアルバー

 ル・コルビュジエ、ミース・ファン・デル・ローエとともに「近代建築の三大巨匠」と称されるアメリカの建築家、フランク・ロイド・ライト。日本にもいくつか建築物を残しているがホテルを設計したのは、1923年に完成した帝国ホテルの2代目本館、通称「ライト館」ただ一つ。石や煉瓦などの素材選びから、幾何学模様の内装、家具に至るまで、ライトが空間全体を手がけ、調和の保たれた建築として高く評価された。しかし老朽化により取り壊しが決まり、1970年に現在の建物へと建て替えられたが、帝国ホテル 東京の『オールドインペリアルバー』に足を運べば、ライト館の面影を今も感じることができる。

 店内左奥にある大谷石のレリーフや壁のテラコッタは当時の姿をとどめており、六角形をモチーフにした椅子やテーブルもライトの哲学に基づいて作られている。つい建築やインテリアに目を奪われてしまうが、目の前のコースターにもライトの意匠が色濃く残されている。施された市松模様は彼が好んで用いたデザインのひとつ。ライト館のステンドグラスやレンガにも繰り返し登場するこの模様とインペリアルホテルの「I」と「H」を組み合わせたロゴからは、ライトと帝国ホテルとの深いつながりが読み取れる。

 2031年には、現在の帝国ホテル 東京の本館も建て替えが始まる予定。老朽化や時代の移ろいとともに建物は変わっていくが、“東洋の宝石”と讃えられたライト館の痕跡は、コースターによって記憶され続けているのだ。

オールドインペリアルバー
帝国ホテル 東京『オールドインペリアルバー』

東京都千代田区内幸町1-1-1 帝国ホテル 東京 本館中2階
03-3539-8088
11:30~24:00(LO23:30)
無休

Official Website
https://www.imperialhotel.co.jp/tokyo/restaurant/old-imperialbar

現本館ができた1970年から内装はほとんど手を加えられていない。店内で使用するグラスの一部にもコースターと同様の市松模様があしらわれている。こちらは職人の減少により模様をグラスに焼き付ける技術も維持が難しく、新本館が完成する2036年度以降には見られなくなる可能性もあるそうなので今のうちに見ておきたい。平日の11:30~16:00は落ち着いた時間帯であるため、静かに贅沢な時間を過ごしたい人におすすめ。

このサイトはお酒に関する
内容を含んでいます。
あなたは20歳以上ですか?
サイトを閲覧する
いいえ
「20歳未満とお酒」
サイトへ