『バー・ペンギン』

カウンターで味わうアール・デコの時代の趣。

日本で最もバーが密集し、かつ名店が立ち並ぶ銀座に6年前オープンした『バー・ペンギン』。カウンター8席にこの街のいいところをコンパクトにぎゅっと詰めこんだ店には腕の良い気さくな店主が立っている。
一人で切り盛りするバーテンダーの池田高志さんは、青山の名店『バー・ラジオ』で14年修行を積んできた経験の持ち主。好景気で映画やジャズなどの文化が栄えた1920年代のアメリカの酒場をイメージした店内には、池田さん自らヨーロッパで買い付けしたアンティークグラスがずらりと並ぶ。同じ時代に流行したアール・デコの建築をコースターのデザインに取り入れていて、池田さんの古き良き時代への憧れが至るところから垣間見えた。15時からと早めの時間帯から営業を始めるのは、食前酒を嗜むお客さんを「行ってらっしゃいませ」と送り出す、この街の習わしに魅了されたから。文化を引き継ぎ、守る姿勢が銀座に慣れ親しんだ人からも支持される秘訣だ。
店名は思いつきと話していたけれど、みんなから好かれるペンギンとバーの雰囲気がリンクしているように感じた。老舗で培った腕前と振る舞いに池田さんのカジュアルな佇まいが同居していて、どんな世代の人からも愛される、バー界のペンギンのような存在だった。

バー・ペンギン
東京都中央区銀座 2-4-2 GINZA201ビル 地下1階
03-5579-9494
15:00〜25:00(LO24:30)
日休
Official Website
https://www.instagram.com/barpenguintokyo/
2018年オープン。ボトルの大きさに合わせて作ったオーダーメイドの棚や池田さんが絵の具で手書きしたメニューにも注目。